○金剛山の里を守り育てる千早赤阪村環境条例
平成30年9月25日条例第31号
金剛山(こごせ)の里を守り育てる千早赤阪村環境条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 参画と協働による環境の保全及び創造のための施策(第7条―第11条)
第3章 生活環境の保全
第1節 公害等の防止(第12条―第17条)
第2節 土地等の適正な管理(第18条―第20条)
第3節 公共の場所等の清潔保持(第21条)
第4節 不法投棄等の禁止(第22条)
第5節 飼い犬等の管理(第23条)
第4章 自然環境の保全(第24条―第27条)
第5章 歴史的及び文化的環境の保全(第28条)
第6章 地球環境の保全(第29条)
第7章 雑則(第30条)
附則
私たちの千早赤阪村は、澄んだ空気、清らかな水、金剛山の緑、そこに息づく様々な動植物など豊かな自然に恵まれた地であり、楠公ゆかりの史跡など歴史資源にも恵まれています。
この豊かな自然や歴史資源のもとで、潤いある文化的な生活を営み、美しい棚田や昔ながらの盆踊りや祭りが根づくむらとして歴史と文化を育んできました。
しかしながら、近年の急激な人口減少により、過疎化、少子高齢化の問題に直面しており、深刻な担い手不足により、農地の保全や水資源のかん養、農山村地域ならではの美しい景観の形成等に重要な役割を果たしてきた森林をはじめとする特色ある地域環境の保全が困難となってきています。
私たちは、健康で文化的な生活を営むために、良好な環境の豊かな恵みを受ける権利を有しています。そして同時に、これまで先人たちが守り育ててきたこの恵み豊かな環境を将来の世代に引き継いでいく責務があります。
このような共通認識の下で、千早赤阪村に関係する全ての人の参画と協働により、一人ひとりが夢を持ち、潤いある豊かな生活を安心して営むことのできるよう、環境への負荷が少なく持続的に発展することが可能な魅力あふれる千早赤阪村をつくりあげ、これを次の世代に引き継ぐことを目指して、村民の総意としてこの条例を制定するものです。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、豊かな環境の保全及び創造について基本理念を定め、村、村民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、豊かな環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の村民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 村民等 村内に住所を有する者及び村内に通勤し、在学し、若しくは滞在し、又は村内を通過する者をいう。
(2) 事業者 村内において商業、工業その他の事業を営む者をいう。
(3) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(5) 野生動植物 自然環境の下で、生育、生息する野生の動植物をいう。ただし、近年、栽培、飼育する目的で導入され野生化した動植物は除く。
(6) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに村民等の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、村民等が健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない健全な環境を享受する権利の実現を図るとともに、これを次世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、資源が有限であり、また、環境の復元力に限界があることを認識し、全ての者が環境への負荷をできる限り低減することによって、持続的発展が可能な地域社会を築き上げることを目的として行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、全ての者が相互の理解と協力のもとに対等な立場で参画し、協働して取り組むことによって行われなければならない。
4 地球環境の保全は、人類共通の重要な課題であるとともに、全ての者がこれを自らの問題としてとらえ、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進しなければならない。
(村の責務)
第4条 村は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関し、必要な施策を講ずる責務を有する。
2 村は、環境の保全及び創造に関する施策を実施するに当たっては、参画と協働の理念に基づき、村民等及び事業者との連携及び協力体制の構築に努めるものとする。
3 村は、公害その他の環境の保全上の支障となる事象について、必要に応じ関係行政機関と協力してその適正かつ迅速な処理に努めるものとする。
(村民等の責務)
第5条 村民等は、基本理念にのっとり、日常生活において、環境への配慮に努めるものとする。
2 前項に定めるもののほか、村民等は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴って生ずる公害及び生活環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境への負荷をできる限り低減し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
3 事業者は、その事業活動によって苦情が発生した場合は、誠意をもって解決に努めるものとする。
第2章 参画と協働による環境の保全及び創造のための施策
(村民等の意見の反映)
第7条 村は、環境の保全及び創造に関する政策の形成にあたっては、村民等の意見を反映するよう努めるものとする。
2 村は、次の各号に規定する施策等について、事前にその案を公表し、村民等から意見を求め、その意見を十分考慮した上で意思決定を行うものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する基本的な計画、指針等の策定又は改定
(2) 環境に重大な影響を与えるおそれのある施策又は計画
(3) 前2号に掲げるもののほか、村が村民等から意見を求めることが適当と判断したもの
3 村民等は、第1項に規定する政策の形成に資するよう、村に対して、政策に関する提案をすることができる。
(通報)
第8条 村民等は、良好な環境に対する侵害又は侵害のおそれがあると認められるときは、その状況を速やかに村に通報するものとする。
2 村は、前項による通報があった場合、環境保全の見地から必要があると認めるときは、すみやかに措置を講ずるものとする。
(環境教育及び環境学習の推進)
第9条 村は、村民等や事業者が環境の保全及び創造についての理解と関心を深められるように、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進と広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(村民等及び事業者の自発的な活動の促進)
第10条 村は、村民等及び事業者が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第11条 村は、村民等の環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の保全及び創造に関する情報を迅速かつ適切にわかりやすく提供するものとする。
第3章 生活環境の保全
第1節 公害等の防止
(公害等の防止)
第12条 村は、環境の保全及び創造を図るため、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、環境に配慮した公害防止協定の締結等、必要な措置を講ずるものとする。
2 村民等及び事業者は、公害を発生させることのないよう必要な防止措置を講ずるものとする。
(環境影響評価への対応)
第13条 村は、環境影響評価法(平成9年法律第81号)及び大阪府環境影響評価条例(平成10年大阪府条例第3号)の規定に基づき、大阪府知事から環境の保全の見地からの意見を求められた場合には、村の環境の保全と創造について適正な配慮が行えるよう、村民等の意見を聴き、意見を述べるものとする。
(説明会等の開催及び周辺住民等の意見の反映)
第14条 村は、生活環境に影響を与えるおそれがあるとして規則で定める事業(以下「特定事業」という。)を行おうとする者(以下「特定事業者」という。)に対し、当該特定事業により環境に及ぼす影響及びその影響を軽減するための措置について、当該特定事業で生活環境に影響を受けるおそれのある周辺住民や事業者等(以下「周辺住民等」という。)に対し、あらかじめ説明会や意見交換会を開催するなど、必要な措置を講ずることを要請することができる。
2 前項に規定する要請を受けた当該特定事業者は、周辺住民等に対し、説明会や意見交換会を開催するなどにより、周辺住民等と真摯に協議し、その意見を反映し、十分な理解を得るように努めなければならない。
3 周辺住民等は、生活環境の保全の見地から意見があるときは、当該特定事業者に対し、意見を申し出ることができる。
4 前項に規定する意見の申出を受けた当該特定事業者は、当該意見を尊重し、環境負荷をできる限り低減させるための措置をとることにより、紛争等が生じないよう配慮して、当該特定事業を施行するよう努めなければならない。
5 村は、特定事業に関し、周辺住民等又は当該特定事業者から、紛争について調整の申出があったときは、必要に応じて当該紛争についてあっせん等を行うものとする。
(村外で実施される特定事業への対応)
第15条 村は、村の区域外で実施される特定事業についても、村の区域内の生活環境に影響を与えるおそれがあると認めるときは、必要に応じて関係機関と連携し、前条第1項の規定に準じて、当該特定事業者に対し、あらかじめ説明会や意見交換会を開催するなど、必要な措置を講ずることを要請することができる。
(公害等に係る苦情の処理)
第16条 村は、公害その他の環境の保全に支障を及ぼす行為に係る苦情について、他の関係行政機関と協力して、迅速かつ適正な処理を図るよう努めるものとする。
(広域的公害防止施策)
第17条 村は、広域的公害防止のため、他の関係行政機関と連携を密に行い相互に協力して必要な施策を行うよう努めなければならない。
2 村は、環境の保全及び創造を図るために必要があると認めるときは、他の関係行政機関に対し必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
第2節 土地等の適正な管理
(土地等の適正な管理)
第18条 土地、建物又は工作物(以下「土地等」という。)の所有者、占有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、その土地等が近隣住民の生活環境を害しないよう適正に管理しなければならない。
2 土地の所有者等は、その土地を物置場、建設資材置場等として利用し、又は利用させている場合は、当該土地に置かれた物により近隣住民の生活環境を害しないよう、その物又は土地を適正に管理しなければならない。
(立入調査)
第19条 村は、前条の規定の施行に必要な範囲において、職員に、必要と認められる場所に立ち入らせ、必要な調査を行わせることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(指導及び勧告)
第20条 村は、土地等の適正な管理を怠ることにより、近隣住民の生活環境を害したと認められる所有者等に対し、当該行為を中止し、又は是正に必要な措置を講ずるよう指導することができる。
2 村は、前項の規定により指導を受けた者が当該指導に従わないときは、当該指導に係る必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
第3節 公共の場所等の清潔保持
(公共の場所等の清潔保持)
第21条 何人も、道路、公園、河川その他の公共の場所に紙くず、吸い殻、空き缶等を捨ててはならない。
第4節 不法投棄等の禁止
(不法投棄等の禁止)
第22条 何人も、正当な権限に基づかないで、他人が所有し、占有し、若しくは管理する土地又は公共の場所に、廃棄物、土砂等を投棄してはならない。
2 土地の所有者等は、その所有し、占有し、又は管理する土地において不法投棄をさせないよう防止に努めるとともに、不法投棄された場合には必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 村は、不法投棄を未然に防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 村は、村民等、事業者及び土地の所有者等に対し、不法投棄防止に関する意識の啓発に努めるものとする。
5 村民等は、廃棄物、土砂等の不法投棄を発見したときは、速やかに村に通報するなど村が行う廃棄物等の不法投棄の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第5節 飼い犬等の管理
(飼い犬等の管理)
第23条 飼い犬、飼い猫、その他の愛がん動物(以下「飼い犬等」という。)の飼育者は、その飼い犬等の性質、形状に応じた衛生管理を行うとともに、人に危害を加えないよう管理をし、ふん尿については、飼育者の責任において適正に処理しなければならない。
2 飼い犬等の飼育者は、飼い犬等が死亡又は不用となった場合は自らの責任で適正に措置しなければならない。
第4章 自然環境の保全
(自然環境の保全)
第24条 村は、自然環境の保全、回復及び生物多様性の確保が図られるとともに、多様な自然環境が保全されるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 村は、特定の鳥獣が生態系等に被害を及ぼす場合は、他の関係行政機関と協力して、被害防止のための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(山林及び農地の保全の推進及び啓発)
第25条 村は、村内に存する山林及び農地の有する公益的機能(水源かん養、土砂流出防止、野生動植物保護及び大気保全その他の機能をいう。以下同じ。)に鑑み、山林及び農地の所有者等の意向にも配慮しつつ、その保全を推進するとともに、村民等に対してこれらを保全することの重要性及び自然との共生に関する啓発に努めなければならない。
2 山林及び農地の所有者等は、山林及び農地の有効な活用と適正な管理に努めなければならない。
3 村民等は、山林及び農地の有する公益的機能による恩恵を享受していることを深く認識し、山林及び農地の保全に関する活動に積極的に参加するとともに、村が実施する施策に協力するよう努めなければならない。
(野生動植物の保護)
第26条 村は、良好な自然環境を確保するため必要があると認めるときは、野生動植物を保護野生動植物として指定することができる。
2 村は、保護野生動植物を指定又は指定解除しようとするときは、学識経験者及び村民等の意見を聴かなければならない。
3 村は、保護野生動植物を指定又は指定解除したときは、その旨を告示しなければならない。
4 村民等は、村指定の保護野生動植物を捕獲し、若しくは採取し、又は殺傷し、若しくは損傷してはならない。
5 前項の規定は、他の法令の規定による許可を受けて行う場合については、この限りでない。
(保護監視員)
第27条 村は、保護野生動植物を保護するため、保護監視員を置くことができる。
2 保護監視員は、次に掲げる活動を行うものとする。
(1) 保護野生動植物の保護のための巡視
(2) 前条第4項の規定に違反又は違反行為をしようとするものを発見した場合の指導
(3) 活動中に把握した事項の村への報告
3 保護監視員は、その活動を行うに当たっては、その身分を示す証明書を携帯し、必要があるときは、関係人にこれを提示しなければならない。
第5章 歴史的及び文化的環境の保全
(歴史的及び文化的環境の保全)
第28条 村、村民等及び事業者は、法令の規定に基づく指定を受けた文化財にとどまらず、歴史的構造物及びその周辺地域の文化的個性及び特質を失わないよう、その歴史的及び文化的環境の保全に努めなければならない。
2 村は、先人から引き継いだ伝統及び文化並びに多彩な生活文化等を保存し、継承し、及び発展させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第6章 地球環境の保全
(地球環境の保全)
第29条 村は、地球環境の保全に資する施策を積極的に推進するものとする。
2 村民等及び事業者は、その日常生活及び事業活動が地球環境の保全と密接に関係することを鑑み、村と協働して地球環境の保全のための活動に取り組むよう努めなければならない。
第7章 雑則
(委任)
第30条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成31年1月1日から施行する。
附 則(令和元年9月27日条例第25号)
この条例は、公布の日から施行する。