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所信表明~5年先・10年先を見据えた行動を今!~

更新日:2020年09月02日

はじめに

このたび6月21日に執行されました千早赤阪村長選挙におきまして、多くの村民の皆様からご信任を賜り、村長として村政運営を担わせていただくことになりました。お寄せくださる期待とその重責に身の引き締まる思いでございます。

本日は私にとりまして、村長として初めての議会でございますので、今後の村政運営に係る所信を申し上げ、議員並びに村民の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

私は、千早赤阪村で生まれ育ちました。

大企業・中小企業での勤務を経て、およそ20年前、ここ千早赤阪村で木材販売会社を設立しました。大企業では、売上げを上げるためには、どのような努力が必要かを考え抜き、中小企業では、いかに部下を動かし、自分自身は取引先といかに交渉するか、10円20円の差額に敏感に対応していくかを追求した日々を送ってきました。

そして、生まれ育ったこの村で木材販売会社を創業して気が付いたことは、いかに良いビジネスパートナーと出会い、互いの利点を活かした仕事を通して共に成長できるか。利益は出しながらも、目先の利益には走らない。5年先、10年先の仕事のシステム・仕組みづくりを行う。と、考えてこの半世紀近くを働いてきました。同時に、仕事に愛情を持ち、この村に愛着を持って働いてまいりました。

その間に4人の子供たち全てが成人し、そして2年間に及ぶ在宅での看護・介護をしてきた父を見送りました。その葬儀の場で「この村の文化・伝統を必ず守ってまいります」と喪主挨拶した日のことが、頭から離れませんでした。

そこから、なんとも言えない不安感。「このままでいいのだろうか?」と、千早赤阪村の将来に対しての不安が募り、「このままでは村の将来が見えない。今、変えなければ、村を守らなければ」との、思いがふくらみました。そして、「今しか無い」と思ったら、即実行。行政経験が無いことは、逆に村民の皆様と同じ目線で改革ができると信じての行動でした。結果として多くの村民の皆様からご信託を頂戴し、村長に就任をさせていただきました。

元号が改まり「令和」に変わりましたが、村は「昭和」のまま、歩みを止めています。今、求められているのは「改革」と「再生」です。古き良き部分を活かしながらも、今の時代にふさわしい村づくりが求められています。

千早赤阪村の再生は、私たち世代の仕事です。そのためにも「役場に新しい風を吹き込む」「役場から村に新しい風を吹き込む」との決意で、議員各位をはじめ、村民の皆様、職員が一丸となって、「改革」と「再生」に努めてまいります。そして、私を育み成長させてくれた「ふるさと千早赤阪村」に対し、精一杯の恩返しに傾注してまいる所存です。

周辺の自治体との広域連携はもちろんのこと、村の財産活用も積極的に行い、さらには、経営感覚を大きく取り入れて、培ってきた企業とのつながりも活かし・協力をいただきながら、新しい村づくりに邁進してまいります。そのためには「ワンチ-ム」。村中がワンチ-ムとなることが必要です。皆様のお力添えをいただきながら、持ち前の行動力・瞬発力・実行力、そして決断力で村政運営に取り組んでまいります。

主な事業について

それでは、今後の村政運営について、基本的な考え方と主な施策について申し上げます。

現在、進められている事業につきましては、基本的には継承します。これまで以上に「村民主体」を基本とした、村民との協働によるむらづくりを推進するために、費用対効果等を見極めながら、必要に応じて変えていかなければならないと考えております。

今後4年間で取り組む主な事業については、選挙時においてマニュフェストとして掲げさせていただいておりましたが、次の10項目を方針と定め村政を運営してまいります。

1 『身を切る改革』

私の任期中に係る村長の退職金を半減、50%カットをさせていただきます。

2 『若者や子育て世帯の応援』

子どもたちは、村の将来の担い手であり、子どもたちの成長とともに、村も発展していくものと考えております。そのためにも、子育てや教育に関する施策の推進が重要となってまいります。

子育て世帯の問題、解決策を個別に議論するのではなく、一石二鳥にも、三鳥にもなるよう、互いに相乗効果が発揮できるように、給食費の無償化や通学バス負担金の減額、子ども医療費助成を18歳に引き上げる事はもとより、村内の古民家や空き家を活用した空き家情報バンク制度を継続し、並行して改修費の補助や家賃補助の効果検証を行い、新たな移住定住施策を検討してまいります。

これにより「賑わいの創出」と「子育て世帯の負担軽減」を行い、子どもたちの声のある村、活気あるむらづくりを行い、いつまでも住み続けられる村の実現を目指してまいります。

3 『新企業の誘致で雇用の拡大』

最近の工場は「3無い」です。「臭い、汚水、騒音」は出ません。村には環境条例もあり、自然豊かな河川、森林があります。村にふさわしい新企業の誘致を、民間・経営者としての経験を活かし、村長の私が先頭に立って、Uターン、Iターンの若い世代が住まい・働ける企業の誘致に積極的に取り組んでまいります。

4 『起業する村をみんなで創る』

村において働く場ができれば、村の人口も増加します。村外の企業に頼るだけでなく、村民の皆様と協働で村に必要な事業を行うNPO法人や会社を立ち上げ、支援を行える制度の構築、地元農作物の販売や道の駅への支援。さらには、村内の施設や民家を活用した福祉事業への支援を推進し、特に村内の高齢者の方々に働く場、活躍する場の提供を行ってまいります。

5 『過疎地にこそITが似合う』

最新のIT(情報技術)を活用して、自由な移動、便利な買い物、行事への参加などが促進されます。

高齢化の進んだ過疎地にこそ、ITが必要です。少人数だからこそ実現できます。村民だれもが活用できる、防災、福祉、教育、観光、生活支援など総合的なIT施策を、国や大阪府の協力を求め、補助金を最大限に活用し、村の強みを生かした先進的なIT施策に取り組んでまいります。

6 『安心で便利な交通網の整備』

買い物、通勤、通学や各種福祉、文化施設への移動手段に必要な、道路交通網の整備を行ってまいります。国道309号河南赤阪バイパス整備事業については、住民の意見を聞きながら、大阪府と調整して進めてまいります。

また、村道の補修事業を推進することで、安心・安全な道路にしてまいります。

7 『農林業の再生支援』

農業と林業は、村の誇りと考えています。国・大阪府の補助事業を活用して、農林業の再生に取り組んでまいります。また、ご高齢の農業経験が豊富な先輩たちと村で新たに農業を志す若者が共に農業を継続し発展していけるシステムを構築するため、大阪府・JA大阪南と連携し支援してまいります。併せて、森林環境譲与税を活用し森林の適切な経営管理の推進と林業の再生を図ってまいります。

8 『伝統文化と楠公歴史観光』

人口減少の中で、村の伝統文化を継続することが困難になっています。祭礼に対しても、ある一定の支援が必要であると考えています。

また、楠木正成に関する歴史遺産や文化財も整備が不十分で、観光資源としても非常に中途半端な状態となっています。千早城址、赤阪城址をはじめ、古道や、寄手塚・身方塚等の整備を推進し観光事業を強化してまいります。

9 『住民対話』

各地区の組長会をはじめ、女性や子育て世代・若い方など、様々な世代の村民の皆様と対話を行い、村民の皆様が今、真に求める要望に耳を傾けて、役場の運営にタイムリーに反映していきます。

一方で、役場の透明性を向上させ、村の現状や行っている事業について、村民の皆様にわかりやすく丁寧な説明を行ってまいります。

10 『ロープウェイ』

金剛山ロープウェイのあり方については、国、大阪府の支援なしに村単独での復旧工事や運営は行うべきでは無いと考えます。村単独で行えば、現在約20億円ある、村の基金が無くなってしまいます。

これまでも民間の活力を活用した指定管理者方式を試みてきましたが、結果、開業以来50年間、村は維持管理のため総額6億円、年平均1,200万円の巨額の赤字補填を税金で行い維持してきました。もはやこれ以上、村民の皆様に負担をかけるわけにはいきません。

しかし、金剛山には府民の森・ちはや園地があります。私は、ロープウェイは村の財産であると同時に大阪府の財産であり、資金も含めて責任を果たす立場にあると考えており、国、大阪府の協力が得られるよう最大の努力を致してまいります。

危機管理対策について

今般のコロナ禍における対策だけでなく、今後起こりうる、災害や同時発生する危機事態等に対応できる危機管理体制の強化が不可欠です。まず、役場組織において、危機管理体制を見直します。

また、村の高齢化率は高く、高度医療を他市に依存せざるを得ない現状だからこそ、災害弱者の視点で危機管理体制を総点検し、住民との協働や民間企業と災害協定を締結する等、自助・共助・公助の考えのもと、様々な危機管理の対策に取り組んでまいります。

おわりに

これらの政策を推進していくためにも、村政運営の透明化を図り、わかりやすい説明と、村民の皆様・地域の声に耳を傾けること。そして、村の発展のために、今しなければならない改革を皆様にご理解いただき、共に手を携え「協働の村づくり」を行ってまいります。

冒頭でも申しましたが、 時代は「令和」になりました。新しい時代に新しい千早赤阪村を村民の皆様と共に創ってゆく。熱い思いと渾身の力、そしてこれまで民間で培ってきた経験や人とのつながりを大いに活かし、職員とも心新たに進んで参る所存です。どうか、村民の皆様、村議会の皆様にもご理解をいただき、ワンチ-ムとなって新しい村づくりにお力添え賜りますよう心からお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。